エステルの特性
PE並みの高感度とフロロのような高比重
数年前からエリアフィッシングにジワリと台頭してきて、今シーズンはこれを使うアングラーの数が著しく増えた一番新しい素材である。4つの素材の中では一番クセのあるラインだが、うまく使いこなせば、強い味方になってくれる。
エステルで注意してほしいのが、ややラインのクセが強いので、ビギナーアングラーより中級アングラー以上にオススメしたい。
さて、エステルの長所はPEライン並みの感度があること。小さなアタリも逃さずキャッチしてくれる。また、フロロほどではないが、フロロ並みに比重があることもメリットのひとつで、ボトムの釣りとの相性が抜群だ。
張りが強く硬いラインで、これがクセが強いと言われる所以。張りがあると、キャスト時に飛距離を出しやすく、マイクロスプーンなど軽量ルアーも飛ばしやすい。しかし場合によってはリールのスプールへの馴染みが悪く、トラブルを起こしやすい面もあるので覚えておきたい。瞬間的な荷重にやや弱いのも欠点のひとつで、慣れないアングラーはアワセ切れを防止する工夫も必要とされている。
フロロカーボンの特性
高比重が様々なメリットを生み出す
感度がいいことが、一番の特徴。伸度はナイロンよりも低い程度なのだが、初期荷重による伸びが少ない。小さな負荷、つまりトラウトのバイト程度の負荷では伸びが少ないために、感度がよくなっている。
高比重であることも釣りにとってプラスになる。浮かせて使うトップウォーターで高比重はマイナスだが、それ以外のルアーとの相性は良い。ライン自体が沈むために、マイクロスプーンなどの軽量ルアーでもレンジキープさせやすくなる。ボトムの釣りにおいても、ルアーとアングラーとの間のラインの軌道が直線的になるため、ルアー操作がしやすくなるのだ。
水中では見にくくなるのもメリット。フロロの屈折率は水のそれに近いため、水中では溶け込みやすく目立たず、魚に発見されにくのである。
ナイロンと比較すると、価格は少々高め。それと、全体的に張りのある硬い仕上がりになっている製品が多いが、近年はソフトタイプも多数発売されている。低温の冬場は、張りのあるフロロラインは、若干糸ヨレやバッククラッシュのトラブルに気を配って使う必要もある。
PEラインの特性
強度と感度がズバ抜けている!
単繊維を複数寄り合わせて作られたブレイデッドライン。繊維の数は4本が主流とされてきたが、現在は3本や8本を寄ったタイプもある。
PEラインは両刃の剣といってもいいくらい、長所と短所がハッキリしている素材。まず長所は、感度が圧倒的に優れている。伸度は4~5%ほどしかなく、ほとんど伸びないと言ってもよいラインである。この低伸度によって、小さな違和感やわずかな変化もアングラーに伝える優れた感度が生み出される。活性が渋ってナイロンでは獲れないような小さなバイトも、PEの場合だと獲ることができるケースは多い。
PEを使いこなす場合の注意点もしっかり把握しておきたい。まずは結節部分。伸びが無いためフッキングなどでの瞬間的な荷重が、結び目に集中しやすく、そこがすっぽ抜けたり切れたりする。接続するノット部分に注意をしたい。非常にしなやかなのだが、そのため風があるときはラインがあおられたり、ロッドのガイドに絡みやすいケースもあるので注意だ。また、一般的に製品価格は高価であることが多い。
PEラインの感度は繊細さを要求されるエリアフィッシングとは非常に相性がいいが、注意点のみ心掛けてさえおけば、強力な武器となる。ナイロンやフロロと比較して価格は底上がりだが、耐久性があってその分長く使える。
ナイロンラインの特性
扱いやすい素材でビギナーアングラー向け
化学繊維の釣糸としては、一番古い素材。太平洋戦争で米軍が使っていたパラシュートのロープをヒントに作られた、という一説もあり、戦後からこの素材が釣糸の主流になっている
ナイロンの持つメリットは多い。他の素材に比べると比較的安価なこと。しなやかなこともメリットで、リールスプールへの馴染みがよくキャストでラインが放出するときに起こりやすいバックラッシュや糸ヨレといったトラブルが少ない。この特性から、ビギナーアングラーにオススメの素材である。
伸びがあるのも特徴だが、これは一長一短がある。トラウトがバイトしてきたときに違和感を覚えにくく、しっかりと食ってくれるし、クランキングでのファイトのときなども適度なクッションが生まれバラしにくい。反面、短所はというと感度がやや鈍ること。劣化に対しても気配りが必要だ。吸水や紫外線劣化が起こる。特に吸水劣化によるラインブレイクを防ぐためにも、マメに新品と交換するようにしたい。